私たちは私たちの神の名のもとに命じます。私たちから受けた教えに従わず、勤勉を美徳とまつりあげるすべての同朋を遠ざけなさい。
あなたがた自身は、すでによく知っているはずです。私たちは、あなたがたのもとにいたとき、恩着せがましく労働してみせたりしませんでした。
あなたがたは私たちにパンをくださいました。私たちはそれに感謝しました。あなたがたは私たちの心からの感謝の言葉を受け取りました。そこにあったのは等価な交換です。
また、パンをより多く持つ者が、パンを持たない者にパンを差し出すのは、当然のことです。
暖炉からの熱が、暖かな空気となって部屋全体に行きわたることを想像しなさい。神の望まれる最もあるべき状態は、部屋のすべての場所に暖かさが等しく届くことです。冷たい場所を暖めることは、暑すぎる場所を冷ますことでもあります。その場所に貴賤の差はありません。いついかなる時においても、熱はただ等しく散らばっていきます。それは創生から変わらぬ神の意思のあらわれです。
パンを持つからといって人よりすぐれていると思い込んではなりません。あなたはただ偶々そこに居ただけです。
パンを持たないことで人より劣っていると考える必要もありません。持つ人から得ればよい。ただし、感謝を忘れてはなりません。
事実、私たちはあなたがたのところで「働くこととパンを食べることは関係がない」と何度も伝えました。
ところが、聞くところによると、あなたがたの中に勤勉な生活を他人に強要する者がいるということです。一人一人が自由な意思のもとに勤勉であることを神は責めません。ですが、自分以外の者に勤勉さを要求する者は、神の怒りを買うことでしょう。
あなたがたに伝えておきます。いずれこの世界に勤勉を何よりの美徳とする間違った教えを説く者が現れるでしょう。職業は神から与えられるものだと嘘をつく者も現れるかもしれません。また法によって労働を義務と規定する国家が誕生する可能性さえあります。
私たちは神の名のもとに命じます。そのような者たちの言うことに耳を傾けてはなりません。彼らはあなたがたを陥れ仲違いさせ心を貧しくさせるために労働を勧めているのです。どんなに大きな声でどんなに多くの人が勧めようが、その声を遠ざけなさい。薪を背負って書物を読むような労働を礼賛する偶像は破壊しなさい。
他人に労働を勧める者は、自分が楽をしたい者です。さらに悪いことには、他人に労働をさせることで自らを潤そうと企む者もいます。その者たちは自らの利益のためだけに労働を礼賛します。あたかもそれが神の意思であるかのようなことまでも口にするでしょう。災いあれ。
そしてそれに騙されてしまう愚かな者たちも多くいます。騙された上で労働をあなたがたに勧めてくる者もいるでしょう。しかし、騙されている者たちは敵と見なさず、同朋として警告しなさい。
騙している者は打倒しなさい。その者たちは神と私たちの、そしてあなたがたの敵です。
まさにあなたがたに告げます。「働かざる者こそパンを得なさい」
間違った教えは、常に真実のような顔をしてあなたがたの前にあらわれます。注意しなさい。
どうか神ご自身があなたがたと共にあって間違いから遠ざけてくれますように。あなたがたが神の真のご意思と共にありますように。
inspired by
「働かざる者食うべからず」というクソ真面目な考えはもうすぐ消える(井上 智洋) | マネー現代 | 講談社(1/5) (ismedia.jp)